連作123

連作1

私(の自意識)は言葉でできている。
たとえば呪文が意味と効力を持つのも、私が言葉であるからだ。
その言葉である私をとらえようってのが、真理の探究。
だけどこの私は架空だから、いくら交通整理したって、追いかけたって、新しい言葉で新しいところ見つけたって、それはただそれだけのこと。
一切は言葉の夢。
自分良くなった悪くなった、こんな自分ダメあんな自分イイ、全て言葉が見てる夢。
自分の持ち物一切合切自分のものでない。
それを囲って持ち主だと思いこみ威張っている自分は、役立たずの用無し。



連作2

私(の自意識)は周回遅れで身体に付きそう解説員(しかも自分じゃ監督のつもり)。
自分が周回遅れとも知らず身体に向かって、あれやれ、これやれ、あれだめ、これだめ、いいのわるいの言っている。
そしてその通りになったら、おれがよかった、○○だから。
その通りにならなかったら、おれがだめだった、××だから。
なんて、ご託並べてご満悦。
なーにしてんだ、この役立たず。
安楽椅子に腰掛けて。
とんだ自閉症
自分を見るというよそ見。
ともかくてんで遅いんだ。

自分の慮りなんかすっとばして世界はどんどん進行してるっていうのにさ。



連作3

自分役立たずの、なんて、すがすがしい。
広くって、わああと叫びたくなるような、嬉しい。嬉しい。